圧迫されている人を自由に

司祭 パウロ 上原信幸

 先週北アフリカや中東で起こっているアラブ諸国紛争のニュースに続いて、ニュージーランドで起こった大地震の報が入りました。滞在中の日本人を含め、200人を超す方々の安否がまだ判っていません。
 クライストチャーチ大聖堂の主任牧師ピーター・ベック司祭によると、彼自身や、大聖堂事務所の職員9名が、この時間に勤務中でしたが、幸い全員無事避難できました。
 しかし、鐘楼付近に多数の旅行者がおらたようで、その人達の安否は現時点で確認出来ていません。
 鐘楼は、134段もの高い階段の上から眺めることができる良い景色のため、観光者にも人気があったので、多くの人が集まっていたようです。
 いまだ閉じ込められている方々、救助にあたる方々の上に、神様の力づけを祈らずにはおられません。

  倦まず、たゆまず

 かつて阪神淡路大地震が起こったとき、英国の宣教団体USPGから、安否を問うファックスが神戸に届いたことを思い出しました。
 まだ、被害の状況もはっきりしない時期だったと思います。その祈りの込められたファックスを見た時、自分が普段、いかに世界の各地で起こっている出来事に、心が鈍くなっているかに気がつかされました。
 私たちの生活の中では、毎日、世界のいたるところでおこっている戦争や暴動、災害や飢饉などのニュースが入ってきます。何千人何万人が傷つき、苦しみ、飢えている状況が、連日のように伝えられると、日常茶飯事となってしまい、しばしば、心が動かなくなってしうことがあります。
 USPGは世界中に太いパイプがありますので、私たち以上に多くのニュースが、毎日入ってきていると思います。
 しかし、彼らに「またか」はないのです。
 毎日、多くの悲劇に直面しながらも、それでも何百年もの間、倦まずたゆまず祈り、支援を続けているわけです。
 冒頭に挙げた聖句は、阪神淡路大震災直後の主日である、顕現後第3主日に読まれた福音書の一節です。
 「主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。」ルカ伝4:18〜19
 神戸の街を目の当たりにした後だけに、圧迫され、捕らわれている人に自由と解放をという言葉に、胸が熱くなった記憶があります。

  祈りの輪を

 クライストチャーチ教区と、その属するアオテアロア・ニュージーランド・ポリネシア聖公会から、全聖公会に向けて被災者と救援活動にあたる方々のために、祈って欲しいという願いが届けられています。
 同様に世界の各地で、平和を求める声があがっています。
 私たちの家族、主にある兄弟姉妹のために祈りを続けたいと思います。


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